犬のがん

犬の肝臓癌・肝臓腫瘍 ― 特徴、治療法、改善のヒント

犬の肝臓癌・肝細胞癌・肝臓腫瘍とは

肝臓にできる悪性の腫瘍の事を肝臓癌と言います。

皆様も一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれていて肝臓がんが発生していても初期の段階では症状として現れないため、発見も遅れがちです。

「疲れやすい」「元気がない」「食欲がない」「腹水が溜まってきた」「肝臓の数値が悪くなった」など症状が現れた時には既に肝臓がんが進行しているケースが多くなります。

肝臓癌の種類-犬の肝臓癌・肝細胞癌

肝臓そのものに癌ができるのが「原発性肝臓癌」他の臓器から肝臓に癌が転移した場合は「転移性肝臓癌」といいます。

原発性肝臓癌-犬の癌・肝細胞癌

犬の原発性肝臓癌は主に以下の4種類があります。最も多いのが肝細胞癌で原発性肝がんの約半数は肝細胞癌です。

  • 肝細胞癌:肝細胞が癌化して発生するがん
  • 肝内胆管癌:胆汁の通り道である胆管に発生するがん
  • 肉腫:肝臓の血管など間葉に発生するがん(血管肉腫、平滑筋肉腫など)
  • カルチノイド:神経内分泌由来のがん

肝細胞癌

犬の原発性肝臓癌は、犬に発生する悪性腫瘍の中ではそれほど多くはありません。原発性肝癌のうち肝細胞がんは、他の臓器に発生した癌が肝臓に転移するのではなく、肝細胞(肝臓の細胞)ががん化したものです。

犬の肝細胞癌は、原発性肝臓腫瘍のなかでは最も発生件数が多いと報告されており、単葉(肝臓の一つの部分)に孤立性の腫瘤病変を形成することが多いです。

そのため、肝細胞癌の治療の第一選択肢は外科手術です。
外科手術により、腫瘍を完全に切除できた場合の予後は比較的良好とされています。

ただ実際には、肝細胞癌を早期に発見することは容易ではありません。

その理由として、肝臓はとても大きな臓器であり、また予備能力・再生能力の高い臓器であり、犬の様子がおかしいと検査をした時点で肝細胞癌が見つかったときにはすでに腫瘍が大きくなっていることが多いのです。

また、肝臓には多くの血液が流れ込んでおり、癌が肝臓脈や門脈、大静脈などに癌が浸潤した場合は、腫瘍を切除するのは困難になります。

肝内胆管癌

肝内胆管癌とは、胆汁の通り道である胆管(たんかん)ががん化したものです。
犬が肝内胆管癌になるのは稀ですが、胆汁の流れがうっ滞(悪くなる)ため黄疸症状がでたり、下痢や便秘など便の状態が悪くなります。

数年前に女優の川島なお美さんが癌でなくなりましたが、その時に患っていたのが肝内胆管癌です。

浸潤性の高い癌であるため、早期に発見し外科手術で癌を切除できたとしても再発・転移してしまうケースが多くなります。
また、抗癌剤も効き難い(ほとんど効かない)ため、一般に肝内胆管癌の予後は良くないと言われています。

血管肉腫

血管の内側の細胞がガン化する状態を血管肉腫と呼びます。
血管肉腫は、血管さえあれば場所を選ばずに発症する厄介なガンの一種です。血管内に発症するため転移もしやすい病気です。

肝臓は多くの血液が流れ込む臓器で、肝臓内にはしばしば血管肉腫が発生します。

血管肉腫が大きく成長すると破裂して大出血を起こし、死に至る事もあります。

また一般に血管肉腫の予後は宜しくありません。

平滑筋肉腫

平滑筋腫・平滑筋肉腫(へいかつきんしゅ・へいかつきんにくしゅ)は、平滑筋という筋肉の細胞ががん化したもので、良性のものを平滑筋腫、悪性のものを平滑筋肉腫といいます。

筋肉というと腕や足などの運動時につかう筋肉(これを骨格筋といいます)を思い浮かべる方が多いと思いますが、血管や内臓を動かすのにも筋肉が必要であり、この筋肉の事を平滑筋と言います。

平滑筋は全身にあるため、平滑筋肉腫はさまざまな部位で発生します。

カルチノイド・神経内分泌腫瘍

神経内分泌細胞に由来する腫瘍が神経内分泌腫瘍・カルチノイドです。
カルチノイドは内分泌臓器のみではなく全身の臓器に発生します。

カルチノイドはとても転移しやすい癌なので、発見された時点で他の臓器に転移していることも少なくありません。

転生肝臓癌-犬の癌・肝臓腫瘍

肝臓は血液が集まる臓器なので、他の部位に発生した癌が肝臓に転移する転移性肝臓癌は少なくありません。

例えば、胃や腸、胆嚢、胆管、膵臓などの内臓に発生した癌が転移する事ともありますし、乳腺腫瘍(乳癌)や肺癌が肝臓に転移することもあります。
血管肉腫やリンパ腫、骨髄腫、肥満細胞腫、メラノーマなどが肝臓に転移するケースも良くみられます。
これら他の臓器から肝臓に腫瘍が転移した場合は、転移性肝臓癌といいます。

肝臓癌の原因-犬の肝臓癌

原発性肝臓癌の原因

人間の場合、多くはB型肝炎やC型肝炎など肝炎ウイルスが原因となりますが、犬や猫では化学物質などが原因で肝細胞が炎症を来し発がんすることが知られています。

肝臓は体内の毒素を解毒する化学工場の役割をもっています。

農薬や薬剤(抗癌剤や抗生物質、ステロイドなどの長期使用)、防腐剤や着色料、保存料、塗料や化学薬品、排ガス、洗剤など体内にはさまざまな発がん物質が入り込んでくると肝臓が体内に入ってきた毒を無毒化しようとし一生懸命に働きます。

しかし発がん物質が慢性的に体内に入り込んでくると肝臓は炎症を起こしてしまいます。慢性的な刺激・炎症は肝癌発症リスクを高めます。
タバコの煙が犬や猫の癌の発生率を高めているとの報告もありますので、喫煙者がいらっしゃるご家庭では注意が必要です。

これら化学物質が体内に入ると直ぐに癌になるとは言えませんが、長期にこれら化学物質にされされることは避けたいものです。

転移性肝臓癌の原因

転移性肝臓癌の原因は、初発のがん(原発のがん)がどこなのかによって異なります。

血流が滞っていたり体温が低いと転移しやすいので、身体を冷やさない事は大切になってきます。

肝臓癌の診断-犬の肝臓癌

検査には次のような項目があります。

  • 血液検査
  • 尿検査
  • エコー検査
  • MRI検査
  • CT検査
  • 腹部レントゲン検査
  • 肝生検

肝臓に癌や他の病気があっても症状として現れにくいため、問診だけで肝臓の病気を判断することは困難です。

血液検査のうちALPやAST(GOT)、ALT(GPT)、γGTPなどの数値が異状値(高値)を示したときには肝臓に何らかの病気がある可能性があるため、画像検査(エコー検査など)が勧められることがあります。

しかし画像検査を受ける際には鎮静剤などの投与が必要になる事があるので、本当に検査が必要なのか獣医師とよく相談されることをお勧めします。

肝臓癌の治療-犬の肝臓癌

肝臓癌が根治する可能性があるのは外科手術で癌を取りきることができた時です。
癌が塊を作っていて浸潤していない、なおかつ一つの肝葉に限局しているような場合は手術後の予後も良いため積極的に手術を受ける価値があると思います。

一方で複数の肝葉に癌が浸潤していたり多発しているようなケースでは、たとえ癌を綺麗に切除したように見えても、たいていの場合は細胞レベルの取り残しがありますのですぐに再発してしまいます。そのため多くのケースでは手術適応となりません。

肝内胆管癌は浸潤しやすい癌のため外科手術後の再発・転移が短期間に高率で起こるため手術後の予後は宜しくありません。
もちろん、広範囲に癌が拡がっている場合は手術適応がありません。

カルチノイドも浸潤しやすいタイプの癌で早い段階からリンパ節や腹膜、肺などに転移しやすく一般に手術適応はありません。

手術-犬の肝臓癌

手術には根治手術姑息手術と2種類あります。

肝臓の一部に癌が限局している塊状型の肝細胞癌は切除後の長期生存が期待できるため積極的に手術を受けることをご検討ください。

一方で、癌が複数の肝葉に多発していたり浸潤している場合は、広範囲の肝臓を切除する必要があるため(拡大手術)、身体への負担も非常に大きな手術を受けなくてはなりません。

たとえ癌を切除できたようにみえても短期間で再発してしまう可能性が高いです。

そのため本当に手術を受けた方が良いのか慎重な判断が求められます。

手術を受けた方が良いのか、獣医師とよく相談されることをお勧めします。

 

抗がん剤治療-犬の肝臓癌

犬の肝臓癌に対して抗がん剤で治療を行う事もあります。
しかし、抗癌剤は癌を治すための治療ではなく、一時的に癌が縮小させることを目的に行う治療であることは忘れないでください。
※抗癌剤治療を受ければ必ず癌が縮小するという事ではありません。

肝動脈塞栓療法や肝動注化学療法などの治療を行う動物病院もありますが、いずれにしても抗癌剤治療で癌を完治させることは困難です。

抗癌剤治療を勧められたら期待できる治療効果と副作用でQOL(生活の質)が悪化することはないのかをしっかりと確認し、治療を受ける・受けないをご判断されることをお勧めします。

放射線治療-犬の肝臓癌

手術との併用や、放射線治療単独での治療で用いられることがあります。
ただ、放射線に対しての反応は個々によって様々ですし、全身麻酔を必要とする治療のため、麻酔薬によるお身体への負担は否めません。

老犬や肺に疾患のある犬の場合、麻酔のリスクは高まりますので慎重な判断が求められます。

肝臓癌の治療を受ける時に注意したいこと-犬の肝臓癌

手術も抗癌剤も放射線治療もメリットとデメリットがあります。

犬の体力や癌の状態によって、治療を積極的に受けた方が良い時もありますが、逆に治療を受けたためにQOL(生活の質)が低下してしまう可能性もあります。

ご愛犬の状態を一番良く把握しているのは飼い主の皆様です。

獣医師に言われたから治療を受けたけど、その結果体調がかえって悪化してしまった、苦しみが多くなってしまった
という事にならないように、飼い主様が主体となりご愛犬やご愛猫のために治療を受ける・受けない・お休みするをご判断してあげてください。

肝臓癌に対する代替療法-犬の肝臓癌

代替療法とは名前のとおり、手術や抗癌剤、放射線などに代わる治療法のことです。
多くの代替療法はお身体への負担が軽いため、同時にいくつかの治療を併せることも可能です。

身体へのダメージが少ないということは、病期や病態をあまり選ばないということです。
手術前や手術後の再発防止、手術できない症例、そして体力が低下している時でも多くの代替療法を行うことはできます。

特に次のような場合には代替療法を検討する意義は大きいと思います。

•合併症が有り、一般治療ではリスクが高いとき
•がんとの共存を狙うとき
•QOL低下の回避を優先したいとき
•確定診断が出る前
•診断結果がどうも腑に落ちないとき

病院の治療と並行して代替療法を行う事も出来ますし、相乗効果も期待できますので、積極的に代替療法について考えてみてください。

ご愛犬が肝臓癌になってしまったとき、ご自宅で出来ること~食事療法~

私たち人間だけでなく、ワンちゃんのお身体も毎日のお食事で作られています。
お食事の見直し=体質改善にも繋がります。

免疫力を保てるようなお身体になるよう、日々のお食事をまず見直してみてください。

食事療法の目的は、がんの増殖スピードを低下させ、体力をつけ、貧血やアルブミン値などを改善させることです。
弊社では治療のベースとして栄養学的なアプローチを非常に重視しています。

がんが成長するためには糖質(ブドウ糖)が必要です。そのため糖質をできる限り制限していくことは直ぐに始められ、身体への負担もなく、副作用などのリスクもありません。また一方で食事療法はご家庭でご家族の皆様の協力がなければ行うことができません。

適度なタンパク質を与えていただき、炭水化物・糖質が多く含まれれているフードの量を減らしていってください。

食事を変えるだけでは癌は治りませんが、肝臓癌の成長に不可欠な糖質を制限することで進行速度を抑えることはできます。フードを与えるだけよりも時間・手間はかかりますが、あまり難しく考えず始めていただければ幸いです。

肝臓癌・肝細胞癌を患ったときの食事療法

肝臓癌はブドウ糖を餌にして成長します。そのため普段の食事に含まれるブドウ糖の量をできるだけ減らしていく事で、癌の成長にブレーキをかけやすくなります。
炭水化物・デンプン質(芋類など)を減らし適度なタンパク質を与えていただく事をお勧めします。
また、BCAAなどのアミノ酸製剤を併用することで、肝臓に負担をかけること無く、不足分のタンパク質(アミノ酸)を補うことが出来ます。

肝臓癌の子にお勧めの食事について皆様の手間を少しでも軽減して頂きたく、食材リスト「ペットだって医食同源-がんに負けないための食材」を作成いたしました。ぜひご一読ください。

その他、お食事のヒントになるような記事も掲載しておりますので、こちらも合わせてご一読ください。
ニュース・コラム

ご愛犬が肝臓癌を患ってしまったらコルディをお勧めします

肝臓癌と闘うときに最も大切なことは免疫を整えることです。

手術や抗癌剤治療を行う場合でも、あるいはそれらの治療ができない場合でも、免疫を整えることはご愛犬の予後改善にプラスになります。

犬も人間も免疫がしっかりしていなければ様々な病気になってしまいます。癌についても同じです。

肝臓癌に限った事ではありませんが、犬や私たちの身体には毎日癌細胞が発生しています。
その癌細胞を見つけ出し、攻撃し、癌の成長を止めるためには免疫の力が必要です。

犬が癌になってしまったのは免疫の働き・免疫システムに異常が発生したため癌を見つけられなかったり攻撃力が弱くなってしまったからです。
既に癌を患ってしまっていても、免疫がしっかり働くようにできれば、無尽蔵に癌が増えてしまうのに歯止めをかけることができます。

ご愛犬の免疫システムを成長に戻すための試みとして、コルディをご利用下さい。

コルディをお飲みいただく事で、ご愛犬の免疫がしっかり働いてくれるようになれば、きっと癌との共存も可能になると思います。

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犬・猫の肝臓癌・肝細胞癌・肝臓腫瘍に関する参考記事

このページをご覧いただいているのは犬の肝臓が心配な方や既に肝臓の病気を患ってしまっている方だと思います。
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