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動物病院のセカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは

主治医の診断や治療が妥当なのかどうか、別の医師に意見を求めることです。

人の医療で10年以上前から少しずつ浸透してきた制度で現在では患者の権利に基づく正当な行為として認知されています。

有効な治療方法が確立していない病気、例えばがん治療や精神病治療でよく利用されています。

 

 

 

人と動物でセカンドオピニオンは違う?

動物病院のセカンドオピニオンは人の場合と異なる点が少なくありません。

人のセカンドオピニオン

人の医療は日本全国どこに住んでいても同じ治療を受けられるという建前がありますし、多くのケースで同じような治療を受けられます(ほぼ同じ治療を受けることになります)。

それは治療ガイドラインという教科書のようなものがあり、医師はそれに沿って治療しているからです。

したがってセカンドオピニオンでは主治医の治療がガイドラインに沿った妥当なものかどうかを評価してもらうことになります。

たいていの評価は「(ガイドライン通りですので)根拠のある治療を受けていますよ。」となります。また保険治療範囲内での評価に限定されることが多いため、範囲外の治療は概ね肯定されてしまう事が多いようです。

動物のセカンドオピニオン

かたや動物病院のセカンドオピニオンでは保険治療で無い事やガイドラインが確立されていないため治療方針や治療技術が施設ごとに異なり、病院ごとに異なったアドバイスが得られることも少なくありません。

動物医療では治療を制約する公的保険制度がないために、治療のバリエーションが豊かです。基礎的な治療では人の医療に及ばない点が多いですが逆に動物医療がリードしている点もあります。

治療成績の向上を狙って先進的な治療、自然療法、海外で認知されている治療やサプリメントを積極的に使ってらっしゃる獣医師も少なくありません。

転院を前提にセカンドオピニオンを利用する飼い主様も多く、セカンドオピニオンを受ける側の動物病院もその点は重々承知しています。

 

賢いセカンドオピニオンの利用法

動物医療ではセカンドオピニオンにおいて、様々な意見やアドバイスが得られる可能性があります。

しかし例えばサプリメント治療の経験に乏しい動物病院で、例えば弊社のコルディMの評価を尋ねても正しい評価を得ることは難しいと思います。(使用経験がなければ正しい評価も難しいため)

良いアドバイスや希望を持てる治療を提案してくれたときは、その後に転院することも視野に入れてセカンドオピニオンを受けることをお奨めします。

これからセカンドオピニオンを受けるつもりの方へのアドバイス

  • 転院も視野に入れている場合は、通える範囲で動物病院をピックアップしておく。
  • 今後の治療の見通しを、今の主治医からしっかりと聞いておく。
  • 1ヶ月間にかかった(かかるだろう)治療費を計算しておく。
  • いままでの治療の経過を時系列でまとめておく。
  • 与えてきた薬剤名(商品名だけでなく成分名も)を書き出し、効果効能程度は調べておく。
  • 代替療法を含め、他にどのような治療方法があるのか調べておく。
  • 今の病気および治療方法について勉強する。

 

実際にセカンドオピニオンを利用するときのコツや注意点

限られた時間内で知りたい情報もしくはそれ以上の情報を得るため、できるだけ準備をして行きましょう。

  • 問診票を書いていく。オリジナルでも良い。治療経過をまとめた別紙を添付する。
  • 聞きたい質問はメモに箇条書して持参する。
  • 質問メモはコピーを取り、一部は獣医師に渡す。
  • 遠回しの質問は避け、要点を突いた質問にする。
  • 質問メモは獣医師の回答やアドバイスを書き込むのに充分なスペースを空けておく。
  • 獣医師の許可をもらえればボイスレコーダーを持参する。
  • CDなどに格納された検査データはプリントアウトして持参する。
  • 持参する資料には、当時の獣医師のコメントなどを記載しておく。
  • 必要なければ動物は連れて行かない。もしくは2人で行く。
  • 実際にかかるであろう治療費を聞く。

 

 

治療に自信のある動物病院は、検査データや治療情報を出し渋ることはありません。「どうぞ他の獣医師に見せてください」と喜んで資料を提供していただけると思います。

逆にいろいろな言い訳をしてデータを出し渋る場合は要注意です。

どうしてもデータが得られそうにないときは、交渉に時間や労力を費やすよりも転院を検討して別の獣医師の意見を求めた方が愛犬愛猫のためになるかもしれません。

 

セカンドオピニオンでのマナー

動物は言葉を話せません。

そのため、飼い主様と獣医師とのコミュニケーションがうまく取れるか、良い関係を築けるかが、よい治療・よいアドバイスを得るための第一歩だと思います。

例えば、こっちはお金を払って来てるんだから神様のように扱え!では獣医師は良い気持ちではないと思います。

まずは面会時間を作ってくれたことに感謝することは最低限のマナーだと思います。

もし話をすることが苦手なのであればそのことを素直に相手に伝え、紙に書いてきた資料を渡せば大丈夫です。文章はできるだけ簡単明瞭にまとめることを心がけてください。

治療経過を伝えるときに、他の動物病院のことを悪く言うのは良くありません。「この人はうちの病院のことも悪く言うかもしれない。できれば診察に来て欲しくないな。」と思われてしまうかもしれません。

ネットのクチコミや評判を伝えることも控えた方が宜しいかと思います。

たくさん勉強して行くことは面会時間を有効に使うためにとても良いことだと思います。

監修獣医師:林美彩  所属クリニック:chicoどうぶつ診療所

代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。