自然療法・代替療法

オゾン療法-犬猫のがんに、簡便で安全な治療法

最近にわかに注目を集めているがん治療法のひとつにオゾン療法があります。治療法の簡便さ、高い安全性、治療効果の増強、治療費軽減などの理由から、積極的に使用している動物病院があります。

がん治療時においてオゾン療法のメリットは多く、そのいくつかを紹介します。

  • 免疫調整作用があると考えられ、自然治癒力の促進が期待される。
  • 元気さ、食欲などのQOL改善を期待できる。
  • 体へのダメージが極めて少なく、体力を落としていても実施しやすい。
  • 手術の前後、化学療法(抗がん剤治療)実施中でも実施可能。
  • 検査結果が確定せずとも開始できる。
  • 他の代替療法との相性がよく、相乗効果を期待できる。
  • 1回の治療時間が短い。
  • 費用が比較的安い。

このようにオゾン療法には多くのメリットがあります。

オゾン療法では、抜いた血液にオゾンを触れさせて再び体に戻したり、オゾンガスをお尻から注入しますが、安全性が高く動物に負担も少ない治療法です。
一般的には「注腸法」すなわち、肛門からオゾンガスを入れますが、この場合はチクリとした痛みさえ感じません。

人では血液クレンジングとして認知されはじめており、美容、アンチエイジングなどで注目されています。安全性が高いために健康な人でも受けられるのです。

 

オゾンとは

酸素原子が3つ結合したガス(気体)がオゾンです。ちなみに酸素原子が2つ結合したものを、私たちは「酸素」と呼んでいます。オゾンガスは天然にもわずかに存在しています。みなさんがご存知のオゾン層にはオゾンガスが濃く存在しています。

オゾンガスは強力な酸化作用を持ち、高濃度ではゴムなどをボロボロに腐食させるほどです。吸入した動物に悪影響をおよぼすことがあります。

しかしそれはオゾンガスの一面を見ているにすぎません。使い方によっては、むしろ安全で有用性の高いガスとなります。

ヨーロッパでは早くから医療に導入し、実績が報告されています。この分野では日本は大きく遅れを取っていますが、それでもオゾンの有用性は見直されつつあり、その高い殺菌効果や脱臭力、脱色力などが身近なところでも利用されるようになってきました。

たとえば日本の水道水は世界トップレベルの安全な水ですが、近年はオゾン利用で発がん物質トリハロメタンを除去するようになり、さらに安全性が高まっています。

 

オゾンは体に悪い?

使い方によっては悪くも良くもなります。前述のとおりオゾンは強力な酸化作用を持っています。そのため動物は高濃度のオゾンガスを吸い込んでしまうと肺を傷めてしまいます。目にも刺激があります。超高濃度のオゾンガスを吸入すれば、生命の危険があります。

しかしオゾン発生器を用いて知識を持った獣医師が扱えば、オゾン療法は安全で効果の高い治療法はになります。

犬や猫のオゾン療法ではオゾンガスに触れさせた血液を体内に戻したり、腸に直接オゾンガスを注入します。このような使い方で害が出る心配はまずありません。
もちろん治療中にオゾンガスを肺に吸い込んでしまうことはありません。

オゾンには特有の臭いがあります。コピー機やレーザープリンターを使用する時の臭いと言えばわかるでしょうか。
人はオゾン臭にとても敏感で、非常にわずかなオゾン濃度でも臭いで感知することができます。もちろんコピー機程度の濃度のガスで体に害が出ることがないのは周知の事実です。

なおオゾンは時間が経つと自然に分解し、無害な酸素になります。

 

オゾン療法を実施している動物病院

コルディを取り扱っていただいている動物病院にも、オゾン治療を導入している動物病院がいくつがございます。

紹介した以外にも、いくつもの動物病院がオゾン療法を実施しています。
オゾン療法を行っている動物病院であればホームページに掲載されているかもしれませんので、治療を希望される方は一度検索されるとよろしいと思います。

 

実は海外ではメジャーな治療法

ドイツをはじめとしたヨーロッパではオゾン療法の認知度が高く人の治療に使われています。他にもロシア、キューバ、イスラエルで人気があります。特に経済制裁で高額な医療費を捻出できないキューバでは、安価で効果的なオゾン療法が広く普及しています。

 

どんな病気に使うの?

オゾン療法は、皮膚炎、感染症、がん、椎間板ヘルニアなどの病気に使われています。

免疫が心配な高齢の犬猫の健康維持や、痛みの軽減目的で使用されることもあります。
もしご愛犬やご愛猫が体力を落としてしまって一般的な治療が受けられない状況でも、オゾン療法ならば身体の負担が少ないため治療を受けられるかもしれません。

一般的なのは注腸法ですが、オゾン水、オゾンオイル、オゾン軟膏、オゾンクリームなど外用塗で使用することもあります。

応用範囲が広いので、実際の適用症は各動物病院に聞いてみてください。

 

オゾン療法のメカニズム

オゾン療法は動物たちの持つ自然治癒力を取り戻す血液療法です。身体が弱ってしまっている時に、血液を活性化させて状況の改善を期待します。

そのメカニズム(作用機序、作用が現れる理由)は多様ですが、徐々に解明されつつあります。

例えばオゾンが体内で過酸化水素を発生し、白血球に働きかけて免疫能を高める。また赤血球に働きかけて酸素運搬能力を高めるという説があります。
その他にも未だ解明されていない多種多様なメカニズムが存在し、それらが相互に作用しあうのではないかと思われます。

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監修獣医師:林美彩  所属クリニック:chicoどうぶつ診療所

代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。